後藤野球塾


 

現役時代の後藤投手

 
 









 

二人の口のきけない男がいた。

二人は言葉の代わりにボールを投げ合うことで、お互いの気持ちを確かめあっていた。
二人の気持ちがしっくりいっているとき、ボールは真っ直ぐに届いたが、
ちぐはぐなときにはボールが大きく逸れた。

ところが、この二人に嫉妬する男が現れた。
彼はなんとかして、二人の関係を壊してやりたいと思い、
バットという樫の木の棒で、二人の交わしている会話のボールを
外の世界へ弾き飛ばしてしまった。

ボールを失った二人は途方に暮れた。

ボールを弾き飛ばした男は、両手を広げて二人の周りを走り回った。
一周するたびに数が記され、その数が増えることが二人の不幸度を表した。

そこに七人の心優しき男たちが〈陽の当たる土地〉から
二人のためにやってきて、二人を守るためにやってきた。

これが、野球の始まりである。
 
 
たとえ80歳の老人でも
野球選手の前では
少年に返ってしまう。
不可能の反対語は可能ではない。
挑戦です。